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日本は今、100年に一度の非常事態に陥っている。生産の大幅縮小、売上の激減、雇用の圧縮、そして倒産の危機。しかし、この大不況のさなかにあって緊急経済対策の中身は各省庁縄張り、平時モードを膨らませただけ。泥仕号を続ける国会、責任を取らない官僚、そして堂利堂略に走り末症状を呈する政権を見て、国民の心は離れていく一方である。
だが、問題解決のために私たち国民に残された時間はない。前代未聞の非常事態を前に、早急に危機管理対応内閣を作り、公務員改革や行政改革をこれまで以上に推し進める必要がある。
電子政府・電子自治体の推進は未来、そうした一連の改革と両輪をなすものである。しかし、これまで数兆円をつぎ込んで構築されたといる電子政府・電子自治体の恩恵に国民は十分浴していない。電子申請などの仕組みは利用率がいまも低迷し続ける。ところが、この使われていない情報システムの推進、追加開発に多額の税金が投入されている。いったい誰のためのシステムなのか。
行政サービスは国民生活に欠かせないものだ。そのサービスを国民に使いやすくするための電子政府・電子自治体の推進であるはずなのに、そうなっていないのは、紙を使った昔ながらの業務プロセスや硬直的な人事制度が以前として跋扈していること、IT調達における見積を精査できる人材が不足している点などに原因がある。また、ITベンダーのシステム開発能力についても問題があると指摘されている。
それに対して、1997年、国家的な財政危機に頻した韓国では、政府が行政改革を10年かけて行った。費用対効果を重視する公会計改革、上級公務員に対する成果主義の導入、電算専門職の育成、中央省庁および自治体の壁を縦横的に越えた情報資源管理の共同利用化などを推進。情報通信技術をフル活用し、世界が一目置く先進的な電子政府を構築した。韓国のIT企業はその構築・運用で培った実績を生かし、世界各国の電子政府事業に相次いで参企するなど、国を挙げた「IT立国」の実現に取り組んでいる。
本書には、韓国の電子政府・電子自治体構築の取り組みあどのようなものであるかが、詳しく紹介されている。韓国の行政制度は日本のそれと類似しており、韓国の成功事例を研究することは、我が国の電子政府・電子自治体推進にも大いに役立つはずだ。
著者の廉宗淳氏は20年近く日本と韓国を往復し、行政サービスや医療福祉、教育分野の業務及びシステム開発に携わってきた。日本の電子政府と電子自治体の発展のために日韓の官公庁や医療部門における人的交流活動に力を注ぐ一方、佐賀県佐賀市の基幹情報システムの改革を成功させてきた。
その豊かな現場経験と知見を用いて、現在は佐賀県の情報企画監や青森市のCIO補佐官を兼務し、住民視点の行政の実現を蔭ながら支えている。本書全体を通じて、現場感覚にあふれた問題提起や実践的解決のためのポイントが提示されているのはそのためである。
我が国の閉塞感を打破する国民運動を起こすためには、高い志を持つ全国の首長さん、議員さん、政治家を目指す人、産業界や消費者の皆さんの力が必要である。そうした方々に是非本書の一読をお勧めしたい。
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